
◆イーグルに訊け―インディアンの人生哲学に学ぶ |天外 伺朗 /衛藤 信之
イーグルに訊け―インディアンの人生哲学に学ぶ
天外 伺朗 /衛藤 信之
飛鳥新社 刊
発売日 2003-10
ロボット犬「AIBO」の開発責任者として知られる一方、
ニュー・エイジ系の著作も多い天外伺朗と、
心理カウンセラー衛藤信之による語り下ろし。
古来より伝わるインディアンの教えのなかから、
現代社会を生き抜くための知恵を発見していくという趣向だ。
なお本書でネイティブ・アメリカンをあえて「インディアン」としているのは、
アメリカ先住民の間でその呼称が誇りを持って使用されるようになりつつある
状況を受けてのことである。
本書で一番驚かされるのは、現代の民主主義にインディアンの教えが
強く影響しているという事実であろう。
「受容」「平等」などの8つの教えを紹介する章では、アメリカ合衆国成立の際に
インディアンの社会制度が大きく取り入れられていたことも明かされる。
彼らが11世紀ごろ樹立した国家は完全な民主制をとっており、言論の自由、
連邦制も存在していた。
それが米国建国の立役者であるフランクリンらに多大な影響を与えたというのだ。
もちろん本書はインディアンの自然と調和する、あるがままを受け入れ他者を
傷つけない生き方にも触れている。
それは経済の発展など物質的なものを重視するあまり、精神面の豊かさを
軽んじる傾向のある現代社会にとって、別の方向性を示す貴重な哲学といえるだろう。
いや、何も社会のことには限らない。
「知識は知恵に勝てない」「奇跡は自分の中にある」など本書に登場する
インディアンの警句の数々は、日常生活に行き詰まりを感じた人々の心にも響くだろう。
本書には心を癒すという「祈り」CDも付いているので、そちらに耳を傾けリラックスした
時間を演出することもできる。(工藤 渉)
目次
第1章 インディアンとの出会い―現代人は幸せか
(文明を外から見るということ
インディアンの文化とはなんなのか ほか)
第2章 儀式の持つ力―人間のつながりを取り戻す
(インディアン社会の伝統儀式に学ぶ
世界とのつながりを取り戻す ほか)
第3章 感謝して生きる―本当の豊かさとは
(自然からのメッセージを感じる人間も本当は自然の一部)
第4章 インディアンがくれるヒント―私たちはどこに向かっているのか
(アメリカ・インディアンに何を学ぶか
生きにくい世の中を生きるためのヒント ほか)
カスタマーレビュー
日本人が忘れつつある大事なものを思い出させてくれます 2005-09-03
この本ではスピリチュアルな共時性を、ネイティブインディアンの
生活様式を通して解説しています。
そこにはともすれば「宗教的」、「オカルト」と捉えられがちな事象や行動を、
「心の平和や落ち着き」を得るための手段として取り入れる方法として、
極力宗教臭を抜いて説明しています。
「頭で考えるより、もう少し時間をかけてゆっくり感じてみる」
「われわれはすべてつながっている」「人間が命の糸を編んでいるのではない。
人間はその中の一本の繊維にすぎない」など、ここで語られる言葉は、
近代化前の日本人のほとんどが理解していた概念だと感じました。
それらが忘れ去られ、目の前で証明できる数字が社会を動かす論拠となったところに、
現代に生きる人間の苦悩の根本がある、と訴える著者に、大いに共感しました。
読後、心が穏やかになるのを感じました。


