
◆2005年10月19日 子育て応援:パート労働者の育児休業(その1) わたしたちも、取ってます
子育て応援:パート労働者の育児休業(その1) わたしたちも、取ってます 【MSN-Mainichi INTERACTIVE】
育児介護休業法の改正で、今春からパートや派遣で働く人も育児休業を取れるようになった。厚生労働省の調査によると、これまで8割近い企業で、有期雇用のパート労働者は育休制度の「対象外」とされていた。改正法においても「雇用の継続が見込まれる」など条件付きだが、パートの多い業界では制度を充実させている企業もある。【大和田香織、大道寺峰子】
◇主戦力担うスーパー業界「良い人材集まる」
近畿に51店舗を展開する関西スーパー(兵庫県伊丹市)は、10年以上前からパート労働者にも育児休業を認めている。
01年以降に育休を取った56人のうち22人がパートだ。労務担当のシニアスタッフ、宮本典子さん(44)は「パートを含め、育休取得は当たり前という雰囲気」と話す。
伊丹駅前店の総菜コーナーで働く浅川亜純(あずみ)さん(31)は昨年12月に長男を出産後、育休を取って今年9月に復帰。母親に長男を預け、午後0時半からの4時間勤務をこなす。妊娠前は1日6時間週5日と、ほぼフルタイム勤務だったが、つわりのひどい時期は店長の勧めで3カ月休職した。
同社では、1日6時間週5日以上勤務のパートは健康保険と雇用保険に加入できる。しかし、どちらにも加入していないパートが3割いることから、全従業員による「共済会」が作られた。月数百円程度の負担で、病気などで休業すると4割の賃金保障が受けられる。
浅川さんがつわりで休んだときは、この4割の保障を受けることができた。産休中は健康保険による6割の保障と合わせ、全額が保障された。育休中も雇用保険で3割が得られた。
「パートで産休・育休が取れただけでも、驚かれる。給料までもらえたので子育て中の友人たちからうらやましがられた」と話す。
パート労働者に育休が認められるようになった背景には、スーパー業界がパートなしでは成り立たない状況がある。同社の場合、社員1160人(うち女性250人)に対し、パートは2460人に上る。
大手のイトーヨーカ堂(東京都千代田区)も02年からパートの育児休業を制度化した。正社員約1万3000人に対しパートは約3万5000人。
「出産後も働き続けようとする人は、仕事への意欲が高く、企業にとって良い人材であることが多い。現場の管理職からも優秀な人を定着させたいという要望があった。手厚い制度があればよい人材が集まる」と担当の小海長治さん。休業中は、職場の様子を知らせる上司からの手紙や社内報を届けるなど、復帰後に向けた配慮もされる。
◇雇用契約の短期化で、法改正の効果に「?」
しかし、妊娠を告げただけで解雇されたり育休を請求して拒否されたというケースは、4月以降もなくなっていない。一つには、有期雇用の労働者が育児休業を取得する場合、1年以上働いた実績のほかに、子どもが1歳を超えた後も雇用継続の見込みが必要とされることが挙げられる。パートや派遣の契約期間は、半年や数カ月と短いのが現実だ。
パートや派遣など個人単位で加盟する地域労組の集まり、全国コミュニティユニオン連合会の関根秀一郎副事務局長は「流通業界や専門性の高い契約社員を除くと、育休が取れる状況にない。法改正の恩恵にあずかれる人は多くない」と嘆く。団体交渉で育休を取れた人もいるが、契約更新を4〜5回以上繰り返して正社員と同じとみなされるケースだった。
約2000組合が加盟するUIゼンセン同盟男女平等局の稲垣眸(ひとみ)さんは「法改正の意義は大きいが、育休制度の利用しやすさは、要員状況など職場の雰囲気も大きいのではないか」と話す。
総務省の調査では、働く女性の4割がパートなど短時間労働者。全国ユニオンの関根さんは「正社員を減らし、パートや派遣に置き換える企業が多いのだから、育休取得の条件を緩めるなど現状にあった法律や制度が必要だ」と話している。
◇事業者も支援計画策定−−正社員含め働き方配慮、学校行事でも休みやすく
次世代育成支援対策推進法に基づいて従業員300人以上の事業者が国に提出する行動計画で、パートの育児支援策をうたう企業もある。
育児休業取得者の数値目標を掲げる企業は多いが、埼玉県内で宅配やスーパー約50店舗を運営する生活協同組合、さいたまコープ(さいたま市)は、パートも含めた目標値として、出産した女性の70%を掲げる。育児休業だけでなく、従業員の希望に応じて正規職員とパート職員との間を行き来できる制度や、パートが契約時間を超えて働くことのないよう、就業時間や契約内容の見直しを挙げるなど、パートと正規職員全般の働き方に配慮している。
製造業のクロイ電機(京都市)も、パートが製造現場で主要な役割を担っているため、91年から育児休業制度の対象にしてきた。雇用契約の期間は6カ月だが、原則、会社側から一方的に契約更新を打ち切る「雇い止め」はないため、希望者は100%育児休業が認められる。行動計画には「行事休暇」の取得促進も盛り込んだ。「(病気などと違って)子どもの学校行事は休みを請求しにくいようなので」(同社管理部)と説明している。
毎日新聞 2005年10月19日 東京朝刊


