
◆2006年03月07日 シュタイナー教育:認定校目指すフリースクールが採用 子どもの想像力、膨らませ
◇「シュタイナー教育」人気
子どもの想像力に働きかけながら学ぶ「シュタイナー教育」を採用した「フリースクール」が広がってきた。学校教育法上の認定校でないにもかかわらず、教育方針を支持する保護者は多い。フリージャーナリスト、藤原尚美さんが各校の取り組みをルポした。
横浜市緑区にある「横浜シュタイナー学園」(神田昌実代表)は昨年4月、NPO(特定非営利活動法人)が開校した小学生対象の全日制フリースクール。小学1、2年生の17人が学ぶ。授業は毎朝「エポック」から始まる。一つの教科を、3〜4週間集中的に、毎日2時間続けて学ぶ時間だ。
1年生の「エポック」は、物語を聞かせることから始まる。「物語に出てきたたき火を描きましょう」という先生の呼びかけで、子どもたちは、たき火をイメージして赤いクレヨンで描く。「勢いよく燃えているよ」。絵から想像力を働かせ、「火」という漢字の形につながっていることを知る。
週1回の「オイリュトミー」の時間は、身体感覚と頭脳とのつながりを密接にする。「僕はうれしい。生きているから」。先生が「イナゴ」を題材にした詩を読み上げると、子どもは笑顔でピョンピョン跳び回る。「子どもが持つファンタジーの世界に働きかけ、想像力を膨らませることは、成長過程で知力につながる」と同校教師の隅田みどりさんは説明する。
同校に子どもを通わせている樋口祐貴さん(38)は、「子どもの伸びやかな想像力をくみ取り、豊かで厚みのある学習へとつなげて育てる、という方針に引かれました」と言う。海野美恵さん(41)の小1の二男は同校で学ぶ。「子どもの本質に沿った教育だと思う。二男は、ワクワクしながら自主的に向かうものが学習と感じているようです」と話す。
同校はフリースクールなので公的な卒業証書は出ない。運営に国や自治体の補助金が受けられないため資金繰りも厳しいが、人気は高く、06年度も入学希望者は早々に定員に達した。学校教育法上の認定校となる道を探るが、運営委員の小林真紀子さんは「校舎などへの初期投資が必要で、私立校を設立するにしても資金がない」と言う。
04年、神奈川県藤野町が政府の構造改革特区で「教育芸術特区」の認定を受け、それまでフリースクールだった「東京シュタイナーシューレ」が、全国初の学校法人「シュタイナー学園」(秦理絵子校長、146人)となり、同町に開校した。
昨夏はシュタイナー教育を実践するフリースクール7校が集まり、研修活動を積むネットワーク設立も決まった。小林さんは「学校の土台を固めて認定校となり、多くの子どもに教育の可能性を開きたい」と模索している。
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■ことば
◇シュタイナー教育
1919年に哲学者、ルドルフ・シュタイナーがドイツで始めた教育実践。肉体、精神、魂の3要素が人間を形作り、誕生から成人まで三つの段階を経て、自我が確立するとしている。シュタイナー学校は6〜18歳の一貫教育、1〜8学年は担任教師が変わらない「8年担任制」などを特色とするが、日本では柔軟に導入しているフリースクールが多い。
毎日新聞 2006年3月7日 東京朝刊


