
◆2006年03月05日 はてなの玉手箱:乳幼児服のサイズ なんで10センチ刻みなの?
「50」「60」「70」……。乳幼児の服のサイズは、10センチ刻み(ピッチ)の身長で表示されている。だが「『70』じゃ小さいし、『80』はまだ大きい」などと、ぴったりした服がない時期だってある。「どうして10センチ刻みなの?」「海外では?」。ベビー服のサイズについて調べた。【銅山智子】
◇実は「75」「85」も存在する/海外は月齢表記もある
「『大は小を兼ねる』し、赤ん坊はすぐ大きくなる」と、私は1歳3カ月の娘に大きめのサイズの服を選んでいた。成長が早い誕生直後に相当する「50」「60」ならともかく、「70」以上になれば、着られる期間もそれなりに長い。だが、娘が通う保育園から、「体に合ったサイズの服を」と念を押された。大きいと、ズボンのすそを踏んだり、そでを引っ掛けたりして事故の原因になるからだという。
「それなら」と、身長75センチの娘にジャストサイズだと思われる「75」の服を探したが、見つからない。西武百貨店池袋本店(東京都)では、「『75』や『85』といったサイズを探しているお客様は、まずいません」と担当の吉羽肇・ベビーこども用品係長。「長い期間着られたほうが経済的ですから。身長75センチの赤ちゃんに『90』の服を買うお客様もいますよ」とも。
「『75』のベビー服はないのか」とあきらめかけたところ、衣料のサイズを定めたJIS(日本工業規格)に、ベビー服のサイズ表示は2種類=表=あることが分かった。10センチ刻みのサイズ表示とは別に、「75」「85」「95」のサイズ表示も存在するのだ。
衣料品のサイズ表示を決める基となった「日本人の体格調査研究」(78〜81年)を手がけ、83年のJIS改正にも携わった高部啓子(たかぶひろこ)・実践女子大教授(被服体型学)によると、80年に規格ができたときは、サイズは「50」「60」「70」「75」「80」「90」「95」と変則的だった。
「75」と「95」があったのは身長75センチが12カ月(1歳)、95センチが36カ月(3歳)にほぼ相当するからだという。「誕生日や七五三ぐらいは、『ぴったりした服を着せたい』という親の需要があり、メーカー側が要望したと聞いています」と高部教授。83年の改正時に「10センチと5センチのピッチが混在するのは分かりにくい」と、「85」も加えて表が二つに分けられた。「55」「65」がないのは、この時期の乳幼児は成長が早く、ほとんど寝ていて動きも少ないからだと思われる。
規格があっても、ニーズがなければ商品化されない。メーカー大手のファミリア(神戸市)も「フォーマルな子供服の一部は、小学校入学時に合わせて115センチや125センチのサイズを用意していますが、ベビー服は10センチピッチのみ」と言う。
海外ブランドでは、国やメーカーによって少しずつ異なるが、「12M」(12カ月)「18M」(18カ月)などと月齢表記が目立つ。「12M74センチ」(12カ月、身長74センチ)のように、身長を併記してあれば選びやすそうだ。
いくつかの商品のピッチを調べてみると、フランス製は6センチ、豪州製は8センチが多かった。国内のベビー服が当初から10センチ刻みで作られている理由は分からなかったが、高部教授は「ISO(国際標準化機構)が検討中のサイズ表示は『50』『56』『62』『68』……とピッチが6センチ。身長が急激に伸びるのは2歳くらいまでで、以降、思春期までは1年間に5〜6センチ伸びる。乳幼児の安全を考えると、日本の規格ももう少し細かくサイズを決めたほうが良いのかもしれない」と話している。
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どうやら、ベビー服のサイズは簡単には変更されそうにない。かくして、フランス製の「74」サイズの服を買い求め、国産の服は、夜なべでまつり縫いに励む私なのだった。
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◇乳幼児用衣料のJIS規格
ベビー服のサイズの基準は身長。乳幼児の身長は測りにくく、親も把握していないこともあるため、買うときの目安としてタグには体重が併記されていることが多い。
毎日新聞 2006年3月5日 東京朝刊


